いよいよ桜の時期となってきました。今、大阪で桜の名所といえば、大阪城や桜宮、造幣局の通り抜けということになりましょうか。ところが、かつては上町台地も負けず劣らず桜の名所が多い所でした。では、江戸時代の人たちはどこで桜を愛(め)でたのでしょうか? ちょっと調べてみましょう。
江戸時代の浮世絵師に歌川広重という有名な人物がいました。広重は大坂の名所10カ所を版画にした「浪花名所図会」を制作しましたが、その中に「安井天神山花見」があります。ここは天王寺区逢阪の安井神社で、上町台地の西斜面にあったことから緑豊かで風景の良い場所でした。この絵を見ると、満開の桜の下で三味線の音に合わせ、酔いの回った足取りで何とも楽しげに踊っている男性とそれを眺める男女、そして右端には酒をつぎ足している男性も描かれています。今の花見風景とほとんど何も変わらない光景ですね。左下に描かれている安井天神の神様も一緒に花見を楽しんでいるようです。